ダンスの習熟過程における運動時心拍数の変化について
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概要
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本研究は,フィリピン地方で踊られている民族舞踊のBamboo Danceを参考にしてつくった,簡単なダンスを習熟する過程で,その運動強度が,習熟の度合いに応じてどのように変化するものかを実験的に追究した。実験はそれぞれの習熟段階における心拍数の測定をおこなった。また,運動中の心拍数は,その時の気象や身体条件により多少の反応を異にすることから,ダンスの実験終了後,一定条件のもとでの自転車漕ぎ運動を行なわせ,そのときの心拍数を測定しダンス中の心拍数の変化の意義を追究する一助とした。なお運動中の心拍数測定には,胸部双極誘導法によるテレメーターを使用した。これらの実験から次のような結果が得られた。1)ダンス中の心拍数の変動は,運動開始2分20秒後には毎分150から165位のほぼ定常状態を示している。さらに各習熟段階における運動中の最高心拍数では,技術的に未熟な段階での第1回目の実験で156であり,ほぼ完全に習熟したと思われる第5回目の実験では170と,回を重ねるにつれて高い値を示す傾向がみられた。2)自転車漕ぎ運動における心拍数の変動は,運動開始1分40秒後には毎分130から140位のほぼ定常状態を示している。さらに運動中の最高心拍数は,第1回目の実験で158,第3回目で146,第5回目では139と,回を重ねるに従い低い値を示し,ダンスの場合とまったく逆の傾向を示している。3)以上の成績から,全く同じリズム,運動時間,動作でありながら,技術的に上達するに従ってその運動中の心拍数は,高い値を示すことがわかった。このことは,技術的に高い水準に達すれば,その技術が未熟な段階にくらべて,緊張と解緊のタイミングがよくなり,さらにそれにともなって動きも大きくダイナミックなものとなり,同じダンスでもその運動量が増大するためと考えられる。
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