女子運動選手の性周期に伴う体力変化
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概要
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初潮後5年以上を経過した健康な大学女子陸上競技選手5名を対象に,基礎体温,安静時脈拍数および握力,背筋力,踏み台昇降運動テスト,体位血圧反射による体力測定を10ヶ月間にわたって行ない,性周期に伴う体力変動を追跡し,次のような結果を得た。1)明らかに高温相と低温相を周期的に示す被検者は4名であり,1名は低温相だけの一相性を示した。そして,高温相と低温相との体温の変動は0.23℃〜3.75℃の範囲であった。2)基礎代謝時の安静時脈拍数は一般的に月経前の高温相で多く,月経後の低温相で少なく,5名中,3名に基礎体温と脈拍数に正の有意の相関が認められた。3)握力は月経数日前から月経期にかけて低下した。背筋力は月経期にも大きな変化は見られず,月経前の高温期に低下する傾向があった。4)運動前の安静時収縮期圧は月経後の低温期に低下する傾向にあったが,弛緩期圧は特に変化はなく,その時期の脈圧は減少した。体位血圧反射による血圧回復能力は月経期に低下した。5)踏み台昇降運動テストスコアは月経期に低下する傾向にあった。6)以上の結果,握力,背筋力による筋機能,踏み台昇降運動テストによる循環機能および体位血圧反射による血圧調節機能は月経期のみならず,月経期前の高温相を示す黄体期に変動の始まることが認められた。本論文の要旨は第25回日本体育学会において発表した。