新規な成長因子ミッドカインの体外診断への応用
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概要
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ヘパリン結合性成長因子であるミッドカイン(Midkine;MK)と癌との関係は、これまでに多くの文献で報告されている。MKメッセンジャーRNAとタンパク質の発現レベルは、ヒト癌の多種類の型で上昇している。そこで、我々は、MKが分泌タンパク質であるので、血液中に出てきたMKタンパク質を捕らえて、これを測定することを試みた。ウサギとニワトリ由来の抗体を組み合わせた高感度酵素標識免疫測定法(ELISA)を組み立て、実際本測定法により測定したところ、135名の健常ボランティアの血液中MKレベルが約155pg/mlであり、明らかなカットオフ・レベルが500pg/mlであることがわかった。この基準に比して、成人の癌患者(150名)血液中のMKレベルは、著しく上昇していた。カットオフレベル以上の患者は、全体の87%であった。さらに、胃癌や肺癌ではステージの早期から血液中MKレベルが上昇していることもわかった。一方、小児癌である神経芽腫においても、血液中のMKレベルが上昇していることがわかった。血液中MKは神経芽腫の進展度を示すステージにあわせて上昇した。また、既存の予後因子と血液中MKレベルとの相関を調べたところ、統計的に有意であった。癌は早期に発見できれば、それだけ治癒する確率も高くなる疾患である。我々の目的は、侵襲のない、しかも簡易で安価な癌診断法を開発することである。その性能は、早期発見可能で、予後予測までできるものを目指している。本文で紹介しているMKは、その候補の一番手である。腫瘍マーカーとして、体外診断へ応用すること、さらには分子標的として、癌治療のターゲットになる可能性を研究している。
- 沖縄工業高等専門学校の論文
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