本学学生の透過性調整力と各自我状態の関係についての一考察
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概要
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透過性調整力と各自我状態の関係をみるため、本学の学生279名に、PCエゴグラムの調査を実施した。PCエゴグラムは、1996年、新里、水野、桂らによって開発された質問紙で、通常のエゴグラムに加えて「自我透過性調整力」(Permeability Control Power)を測定できる質問紙法チェックリストである。透過性調整力とは自我状態を内外の刺激に応じて適切に切り替える力で、五つの自我状態間でエネルギーを自由にコントロールする能力である。この透過性調整力は、本学学生はどの程度あるのか、年度によって学生の自我状態に特徴がみられるか、また、透過性調整力の高い学生と低い学生では、自我状態にどのような違いや特徴がみられるかを知るために、透過性調整力と各自我状態の関係を比較・検討し考察した。その結果、以下のことが指摘された。(1)透過性調整力は平均値が12であるから、16年度生のPCの値は10.51と平均値よりやや低く、18年度生は11.89と平均値にほぼ近い数値を占めている。16年度生と18年度生の間には有意差はなかった。自我状態は18年度生にAに有意差(p<0.05)がみられた。両年度ともエゴグラムはM型を示した。(2)透過性調整力の高い学生は、両年度とも自我状態のNPとFCがどの群よりも高く、ACがどの群よりも低いM型を示した。16年度生にFCに有意差(p<0.05)がみられ、18年度生にNPとACに有意差(p<0.05)がみられた。PCの値には有意差はみられなかった。(3)透過性調整力の低い学生は、両年度とも自我状態のACがどの群よりも高く、AC優位型を示した。16年度生と18年度生の間に有意差はみられなかった。(4)透過性調整力を高めるためには、セルフ・コントロールの力を強めることと、自我状態のNP、A、FCを高めることが示唆された。
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