大茘人化石の年代 : 黄土-古土壌層序の帯磁率による推定
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1978年,保存状態のよい人類の頭骨化石が陜西省大茘県北西20kmの解放村で発見され,大茘人と命名された.大茘人は後期更新世後期の段丘構成層中から出土した.最近15年間に大茘人化石と哺乳類化石,石器などについて,多くの研究が行なわれてきた.しかし,大茘人の年代については今もなお論議が続いている.筆者らは,大茘人遺跡断面の土部にある黄土-古土壌層序に対し,野外で帯磁率測定を行ない,その帯磁率曲線及び層序を黄土高原中心部に位置する洛川断面と対比した.その結果,大茘人遺跡の黄土-古土壌層序には,2層の黄土と2枚の古土壌層及び完新世黒土層が含まれていることが判明した.この層序は黄土高原の黄土-古土壌層摩のうち,S2以土の層序に対比され,本地域の下部の古土壌層基底の年代は235kyr B. P.であると推定できる.大茘人化石を含む地層は黄土-古土壌層序の約20m下位にあるので,大茘人の年代は300kyr B. P.に近いと考えられる.
- 地学団体研究会の論文
- 1993-11-25
著者
-
酒井 潤一
Department Of Geology Faculty Of Science Shinshu University
-
熊井 久雄
Department Of Geosciences Faculty Of Science Osaka City University
-
熊井 久雄
Department Of Bio-geosciences Graduate School Of Science Osaka City University
-
肖 挙〓
Department of Geosciences, Faculty of Science, Osaka City University
-
肖 挙〓
Department Of Geosciences Faculty Of Science Osaka City University
-
肖 挙楽
中国科学院地質研究所
関連論文
- 野尻湖発掘地とその周辺の地質(1974-1975)
- 御岳山南麓伝上川ぞいの地質と斜面崩壊
- 大茘人化石の年代 : 黄土-古土壌層序の帯磁率による推定
- 後期新生代堆積盆地の構造的分類(後期新生代堆積盆地の形態と形成機構-傾動盆地を中心にして-)
- 濃尾平野第四系の層序と微化石分析
- 松本盆地の第四紀地質 : 松本盆地の形成過程に関する研究(3)
- 濃尾平野地下の第四系の微化石層序 II 花粉 : 第四紀
- 松本盆地南部と伊那谷における小坂田ローム層中の浮石層 : 松本盆地の形成過程に関する研究(2)
- 松本盆地の第四紀地質の概観 : 松本盆地の形成過程に関する研究(1)
- 木曽谷と濃尾平野の第四紀地史
- 熱帯地域の火山斜面における湧水温度と電気伝導度 : インドネシア西ジャワ島レンバンを例にして
- シンポジウム「大都市圏の完新統に記録された人と自然の相互作用」開催にあたって
- 下総層群「多古貝層」の露頭から発見された人類化石
- 御岳火山の中期更新世溶岩類のK-Ar年代
- 講演 大根島の地下水 : 淡水レンズをめぐる問題点
- 大阪平野の地下水--大阪地下水盆広域流動系の概要 (特集(2) 大阪の水循環再生)
- インドネシア, ジャワ島バヤット地域の古第三系から産出した石灰質ナンノプランクトン
- 火山斜面の局所的地下水流動系--インドネシア バンドン市を例にして
- 薩拉烏蘇累層の堆積環境と地層区分について
- 大阪平野の地下水 : 大阪地下水盆広域流動系の概要
- O-68 中国内モンゴル,岱海湖底堆積物に記録された最終間氷期以降の気候・環境変動(9. 最終間氷期以降の東アジアの気候・環境変動,口頭発表,一般発表)
- O-65 琵琶湖湖底堆積物から見た環境変動(9. 最終間氷期以降の東アジアの気候・環境変動,口頭発表,一般発表)