北上山地,気仙沼のペルム系(予報)
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概要
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南部北上山地,宮城県気仙沼市から岩手県陸前高田市矢作町にかけて発達するペルム系の層序を明らかにし,そこに5つの化石帯を設けた.当地域のペルム系は下位より坂本沢統,叶倉統,および登米統に分けられる.坂本沢統は上部石炭系の長岩統を不整合に覆う.叶倉統は坂本沢統を不整合に,また登米統は叶倉統を整合的に覆う,坂本沢統(層厚約713 m)は礫岩層を境として,下位のPseudoschwagerina帯と上位のPseudofusulina帯に分けられる.前者は基底礫岩と砂岩,粘板岩の薄層をはさむ石灰岩からなる.後者の下部は石灰岩,上部は粘板岩からなる.これらは各々西南日本,秋吉台のPseudofusulina帯, Pseudofusulina帯(HASEGAWA, 1963)に対比される.叶倉統(層厚約1,100 m)は塊状石灰岩層の基底をもって,下位のMonodiexodina matsubaishi帯と上位のLepidolina multiseptata帯とに分けられる.前者の下部は粘板岩,上部は化石に富む砂岩および砂質または泥質石灰岩からなる.後者は下部が塊状石灰岩と砂岩,上部が粘板岩からなる.Monodiexodina matsubaishi帯は秋吉台のParafusulina帯〜Neoschwagerina-Verbeekina帯(HASEGAWA, 1963)にあたる.Lepidolina multiseptata帯は秋吉台のYabeina-Lepidolina帯(HASEGAWA, 1963)に相当する.登米統(層厚約1,225 m)の下部は粘板岩,上部は主に砂岩からなる.下部の粘板岩は化石に乏しいが,上部の砂岩およびそれにはさまれる石灰岩からは有孔虫,腕足類等の化石が産する.上部(Colaniella parva帯,新称)は中国南部の長興階(CHAO, 1965)に対比される.下部は層位的に中国南部の呉家坪階(CHAO, 1965)にあたるものと思われる.
- 地学団体研究会の論文
- 1976-05-20
著者
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田沢 純一
Department of Earth Sciences, Niigata University
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田沢 純一
Department Of Earth Sciences Faculty Of General Education Niigata University
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