阿武隈山地西堂平片麻岩体のK-Ar年代
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概要
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阿武隈山地西堂平片麻岩体中のK-Ar黒雲母の年代決定を米国Pittsburgh大学で行なった結果,平均98±3m.y.の値を得た.この値は既に河野・植田(1965)によって報告されている入四間花崗岩体のK-Ar年代90 m.y.とほぼ一致している.このような値が得られたにもかかわらず,筆者等および北海道大学理学部地質学鉱物学教室の多くの研究者は,次の理由によって西堂平片麻岩体はPre-Cambriau ageの変成物であろうと考えている. 1)西堂平片麻岩体とその上位にある古生層のStructural trendが全く異なっている.2)西堂平片麻岩は十字石・藍晶石・珪線石などアルミニウム珪酸塩鉱物を含む高変成度(角閃岩相)の黒雲母片麻岩であるのに対し,古生層起源のものは低変成度(緑色片岩相)である.3)西堂平片麻岩体は古生層起源の変成岩を形成させた造山運動(安倍族造山運動)をこうむっている.4)大角矢層は北上山地Middle Devonianの中里層に対比されるが,この砂岩相中に数ヶ所にわたって,十字石・藍晶石がSand grainとして発見された.これらSand grainsは,恐らく西堂平片麻岩体からもたらされたものに違いない.かくて,西堂平片麻岩体が古生層の基盤をなすものであり,恐らくPre-Cambrian ageであることは疑い得ないが,古生代および中生代の造山運動をこうむることによってstep by stepにreactivated或いはdiaphtolitizedされたことが明らかにされつつある.今回のK-Ar年代測定結果は,阿武隈山地の地史の中でも,とりわけ,白亜紀に活動した入四間花崗岩体の熱的影響をかなり広域にこうむった結果であると理解されよう。
- 地学団体研究会の論文
- 1971-01-25
著者
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渡辺 順
Department Of Geology And Mineralogy Hokkaido University
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ビッカーマン ミハエル
Department of Earth and Planetary Sciences, University of Pittsburgh
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ビッカーマン ミハエル
Department Of Earth And Planetary Sciences University Of Pittsburgh