フィリピンパラワン島ウルガン湾におけるマングローブの帯状分布と滞水時間
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概要
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マングローブの帯状分布に影響を与える環境因子のひとつとして海水および汽水の滞水時間が挙げられる。フィリピンのパラワン島ウルガン湾の人為的な影響が少ない良好なマングローブ林においてマングローブの帯状分布と滞水時間の関係について調査を行った。3本のトランスセクトを設置して海側から陸までのマングローブの帯状分布変化と地盤高変化を測量した。出現したマングローブ樹種の分布は海から陸に向かう順に,Rhizophora mucronata (Rm)<Bruguiera gymnorrhiza (Bg)=Rhizophora apicurata (Ra)=Xylocarpus granatum (Xg)<Aegiceras floridum (Af)=Bruguiera sexangula (Bs)=Heritiera Littoralis (Hl) であった。また,測量の結果,地盤高は起点からの距離に応じて陸に向かい漸次高くなっていくことが明らかになったため,水平的なマングローブの帯状分布は各樹種の生育地盤高範囲の違いが現れたものであると考えられた。生育地盤高を滞水時間に置き換えるために,1本のトランセクト(UL3)に沿って主な調査木の最高潮位と同日の潮位変化からそれぞれのマングローブ樹種の滞水時間を推定した。この結果,Rmのうち最も海側に分布する個体が小潮の時に24時間滞水する以外は,出現した全てのマングローブは1日のうちに短時間でも海面から地表面が現れる場所に分布していること,Bs,Hlのうち最も陸側に分布する個体は,6月の大潮の時でも滞水しない場所まで分布域を広げていること等,各樹種の滞水時間範囲の違いが示された。
- 森林立地学会の論文
- 2004-12-25
著者
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宮崎 宣光
(社)海外林業コンサルタンツ協会
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豊田 貴樹
東京農工大学連合農学研究科
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加藤 和久
(社)海外林業コンサルタンツ協会
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遠宮 広喜
(社)日本森林技術協会
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豊田 貴樹
東京農工大学連合大学院農学研究科:(現)(社)海外林業コンサルタンツ協会
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