乗数理論と財政政策の再考察
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概要
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ケインズ経済学において,独立支出の増加がGDPに乗数倍だけの増加をもたらすという「乗数理論」は,財政政策の効果に大きな期待をさせる理論的根拠になっている.しかし,日本の90年代の長期不況期に財政政策の効果は小さくなったと認識され,ケインズの経済学への信頼が薄れてきた.それに対して,伊東光晴氏はその著書において,90年代の資産デフレ不況下において,政府支出の増加は,在庫投資や投資の減少により,財政政策の効果が弱められたのであったと主張する.本稿では,この伊東氏の見解を,データを通して計量的手法で考察した.結果は,伊東氏の主張は裏付けられず,90年代の政府支出と在庫投資や投資との相関関係はなかったと推察される.
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