イカ外套膜の破断特性にみられる異方向性とこの現象に及ぼす加熱温度の影響
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概要
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本研究では、長崎魚市より購入したモンゴウイカ(Sepia officinalis)の外套膜を試料として用いた。購入直後の新鮮物を沸騰水中および60℃の温湯で加熱し、外套膜の加熱にともなう物性変化を経時的に検索した。生イカの定速圧縮破断試験では、輪走筋方向に破断した方が輪走筋を横断して破断するよりも破断エネルギーは大きく、イカ肉の物性には異方向性が認められた。イカ肉を沸騰水中で加熱すると、いずれの方向の破断エネルギーも低下したが、破断エネルギーの低下は輪走筋方向に破断した場合に著しく、輪走筋を横断して破断した場合にはわずかであった。そのため、加熱10分以上では輪走筋方向に破断した方が輪走筋を横断して破断するよりも破断エネルギーは小さくなり、異方向性は逆転した。しかし、イカ肉を60℃の温湯で加熱した場合は、いずれの方向の破断エネルギーも同じ程度まで低下し、加熱10分以上では破断方向による違いは認められず、イカ肉の破断エネルギーについての異方向性は見かけ上消失した。
著者
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