長崎カステラの無機質に関する研究 : ナトリウム,カリウムの定量
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概要
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長崎カステラの無機質についてナトリウムとカリウムの分析、定量を行い、次のような結果が得られた。1.炎光光度法による定量使用した炎光光度計において、次のような条件でナトリウム、カリウム含量を測定し、定量法として迅速にして良好、適用可能と考察される含量結果が得られた。(1)試料溶液の調製:調製試料を約10g程度精秤し、1%塩酸で15分間抽出後、250mlに定容した。(2)検量線の作製:検量線用標準溶液はナトリウム、カリウムのいずれも直線を示す30〜100ppmの範囲内のものを調製した。(3)ナトリウム、カリウムの含量:それぞれの含量と含量順位は次のようであった。ナトリウム(mg%):F 55.2>I 54.5>B 52.9、カリウム(mg%):B 79.5>F 75.1>I 74.2。これは四訂食品成分表の値と同程度の測定値であった。2.原子吸光法による定量使用した原子吸光分光光度計において、次のような条件でナトリウム、カリウム含量を測定し、定量法として迅速、良好、適正で感度がよいと考察される含量結果が得られた。(1)試料溶液の調製:1.の場合と同様にして調製し、原液とした。これを適宜希釈(本定量では16倍希釈)して供試した。(2)検量線の作製:検量線用標準溶液としてナトリウムは0.5〜2.0ppm、カリウムは1〜4ppmの範囲内のものをそれぞれ調製した。(3)ナトリウム、カリウムの含量:それぞれの含量と含量順位は次のようであった。ナトリウム(mg%):F 61.4>I 59.2>B 58.1、カリウム(mg%):B 85.1>F 80.5>I 79.1。これは四訂食品成分表の値より高い含量であった。長崎カステラは従来、鶏卵をとくに多く使用しているが、この結果は製品自体の本質的な特長を示している。3.両定量法間において以上から、原子吸光法による方が炎光光度法によるよりも、より適切な、感度のよい結果が得られると考察された。さらに、炎光光度法は1%塩酸抽出法を用いることによって目的に対応した定量が可能であり、その簡易性を充分に実用化し、利用できるものと考察された。4.鶏卵の配合量において、以上の含量結果から総合して全卵の使用量は、Iは相対的に他より少なく、Fは多い傾向にあった。また、Bは卵黄の使用量が相対的に多いことが考察された。
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