カステラの適正な品質鑑別
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概要
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カステラの適正な品質鑑別および検査法の確立を目的として、品質鑑別の主要因である嗜好性を中心として検討した。嗜好調査の結果、長崎市民のカステラに関する嗜好性は、ほとんど大部分の層に支持され、良好で高かった。その高い嗜好性の要因は、市場性実態調査の結果、とくにカステラのおいしさ、やわらかさ、しっとりさにあることがわかった。おいしく、やわらかく、しっとりとしていて新鮮味の高いカステラは最も好まれた。そのほか甘い、色が良い、においが良いこともその要因であった。これらの嗜好的要因、とくに、おいしさ、やわらかさ、しっとりさ、および甘さは適正なカステラの品質鑑別および検査を行う上において、最も必要にして適切な要素であり、項目であることがわかった。また、鑑別法、検査法について以下の結果を得た。1) カステラのおいしさは、色、香りと共に官能検査により鑑別することが必要であることがわかった。なお、これはやわらかさ、しっとりさ、および甘さなどについての鑑別と平行してなされることが望ましいと考察された。2) カステラのやわらかさの程度は、硬さの相対的測定により適正な評価と表示が可能であることがわかった。3) カステラのしっとりさの程度は、水分含量、水分活性、および遊離水量等の一連の測定により適正な把握と評価、および表示が可能であることがわかった。4) 保水力はしっとりさの程度をより正確に知るために、しっとりさを表わす測定要素に加えて、補足的に測定することが望ましいと考察された。また、30℃恒温下、約2日間又は4日までの間、経時的放置による測定が適切であることがわかった。5) タンパク質の定量分析は栄養素としての量を知ることだけでなく、嗜好性に関連するやわらかさやしっとりさの官能的品質の検査、評価に不可欠であることがわかった。6) カステラの甘さの程度は全糖量、水溶性直糖量の定量分析によって、相対的に鑑別できることがわかった。
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