インフォメーションテクノロジーと高等教育 : 英国オープンユニヴァーシティにおける障害者の学習支援システム
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概要
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1970年に設立された英国のオープンユニヴァーシティ(OU)は、"開かれた大学"を旗印に、従来の教育体制では構造的にカバーできなかった人たちに広くその門戸を解放し続けている。BBCとの連携によるTV、ラジオ授業を含む遠隔教育システムを通じて、教育機会に恵まれなかった人、第二の学習チャンスを求める人、働きながら学びたい人に第一級の高等教育の機会を与えるOUの試みは、その後の世界の遠隔高等教育に大きな影響を与えた。なかでも、設立当初から始まった障害者への積極的な門戸開放やオルタナティブ教材による学習支援は特筆すべきものがある。我が国においても障害者へ門戸を開く大学の数はふえつつあり、放送大学では障害者の在籍率は一般大学の2倍となっている。しかし、多くの大学は入学を許可したものの、学習は学生個人の努力に委ねられており、学習権の確立といった統一的な対応にはいたっていない。OUの障害者支援システムを研究することは、我が国の障害者教育を前進させるために有用であるばかりか、学生を中心に据えたその包括的な学習支援システムは、遠隔教育や障害者という範疇を超えて、我が国の目指す21世紀の「多様な学生に柔軟な学習形態を可能にするオープン&フレキシブルな新しい高等教育」の構築のために重要な示唆を与えるものである。筆者は1989年に英国の障害者の社会史とOUの障害者支援について論考をまとめたが、それから10年、英国の高等教育を取り巻く環境は大きく変化している。本稿では、英国高等教育の過去と現在をおさえつつ、OUの障害者学習支援システムに焦点をあて、OUの学習支援に対する基本理念と具体的方法を学生の立場から検証し、IT(インフォメーションテクノロジー)を活用した新しい大学教育のあり方を探りたい。
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