モンゴル国のゲルキャンプ開発と景観保全
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概要
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モンゴル国では、観光客数の増加とともに、モンゴル特有の宿泊施設"ゲルキャンプ"が急増している。しかし、急成長するモンゴル国の観光において、ゲルキャンプの現状をとらえ、景観保全との関連性を含めた課題を明らかにした論文はみられない。そこで、本稿では、現地調査を行い、モンゴル国におけるゲルキャンプの現状を総観するとともに、施設開発と土地利用・景観保全との関連性を法的に概観した。まず、ゲルキャンプは国内全域に分布しており、外国人観光客だけでなくモンゴル国民の利用が増え、一部では競合激化で過剰感が出てきている。営業期間は5月から長くても10月中旬までが一般的である。コンクリート製のゲルに似せた宿泊施設を整備して通年営業するところもある。ゲルにエアコンを装備し、テレビや高級家具を置くなど、高級化したところもみられる。ショーイベントスペースと観覧席、スポーツ施設、露天風呂とサウナなどの付帯施設を設ける例もある。このように、モンゴル政府が重視するエコ・ツーリズムの観点から徐々に逸脱する傾向がみられる。そして、現在のゲルキャンプは、それぞれが概ね周囲の景観に馴染んでいると思われるが、一部の地域では、ゲルキャンプの存在が草原の風景を阻害するケースが出てきている。山小屋風建築物のオレンジや赤色の屋根が目立つなど、観光客の求める「草原とゲル」の風景ではなくなりつつある地域もある。道路沿いに設置されたゲルキャンプの案内看板は、他の屋外広告物とデザインが異なっており、景観を阻害する一因になりつつある。最後に、モンゴル国において特に景観保全意識が低い仮説的要因を抽出し、ゲルキャンプ開発と景観保全に関する法的規制の必要について考察した。
著者
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