フェイズ理論に基づくアスペクト性と統語構造についての考察(斎藤武生先生 退任記念号)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アスペクト性は、Smith (1991)が指摘するように、(i)動詞や述語が担うもの、(ii)文使用によって影響を受けるアスペクト性の2つが存在するが、(ii)の観点からの理論研究や(i) (ii)を共通の基盤の下に分析できる理論体系が整備されたことがなかった。本稿は、Chomsky (2000)以降のMinimalist Programで提案されたフェイズとインターフェイスの考え方を整備しながら、(i)(ii)のアスペクト性が1つの理論的装置から導き出されることを提案した。具体的には、統語構造外の文使用のインターフェイスがVPの構成要素とその文使用の場面を判断して、文が有界の解釈を持つと判断すると、フェイズであるνPの主要部に[telic]素性を付与し、その素性が適切に照合されることで統語構造からアスペクト性が導き出されると提案した。
著者
関連論文
- フェイズ理論に基づくアスペクト性と統語構造についての考察(斎藤武生先生 退任記念号)
- アスペクト転換の適切な取り扱いを巡って : 移動様態動詞を題材としての一考察
- Event構造におけるアスペクト転換 : 「たて」構文の分析
- -ing名詞化における項構造の継承について : 統語構造から継承性を予測する