ギフチョウ蛹の蛍光性分泌物
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概要
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ギフチョウの蛹は蛹化直後に頭・胸部背面,主に前・中胸部の背面からやや粘性の液体を分泌する.分泌物は淡黄褐色を呈し,特に長波長紫外線照射下で緑青色の蛍光を発する(極大波長:512nm).分泌液は脱皮(蛹化)後約2時間でほぼ全身の背面を覆い,蛹クチクラの着色(黒化)と硬化の進行に伴って固化する.いったん固化した分泌物は水にほとんど不溶となり,蛹の期間中ずっと体表面に残る.しかし分泌物は顕著な吸水(保水)性を示し,乾燥に対する保湿剤として機能することが示唆された.分泌液は弱アリカリ性を示し,顕著な抗菌性は示さなかったものの弱い静菌作用が認められた.これらのことをふまえて,本種蛹の生存戦略に関わる分泌物の生態学的な機能について考察した.
- 2008-03-30
著者
-
本田 洋
筑波大・生命環境
-
大村 尚
Graduate School of Biosphere Science, Hiroshima University
-
本田 計一
Graduate School of Biosphere Science, Hiroshima University
-
本田 計一
Graduate School Of Biosphere Science Hiroshima University
-
本田 洋
Graduate School of Life and Environmental Sciences, University of Tsukuba
-
大村 尚
Graduate School Of Biosphere Science Hiroshima University
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