多次元共感性尺度(MES)の作成 : 自己指向・他者指向の弁別に焦点を当てて
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は,共感性の多次元的アプローチに従い,他者の心理状態に対する認知と情動の反応傾向をそれぞれ他者指向性-自己指向性という視点から弁別的に測定しうる多次元共感性尺度(MES)を作成し,その信頼性と妥当性を検証することであった。先行研究における概念定義の議論および既存尺度の構成を概観し,「他者指向的反応」「自己指向的反応」「被影響性」「視点取得」「想像性」の5つの下位概念を設定した。これらを測定する項目を作成し,質問紙調査を実施した。大学生871名から得られた回答について因子分析を行った結果,5つの下位概念に対応する5因子が得られた。α係数,I-T相関係数,再検査信頼性係数などの結果から信頼性を検討した。また,既存の共感性尺度および共感性との関連が予想される概念を測定する尺度との相関から妥当性を検討した。今後,自我発達との関連など認知・情動反応傾向の指向性を規定している要因の検討を進めることが,共感性に関する応用研究において有益と考えられる。
- 2008-12-30
著者
-
木野 和代
広島国際大学
-
鈴木 有美
名古屋大学大学院教育発達科学研究科
-
鈴木 有美
名古屋大学大学院教育発達科学研究科:(現)中部大学教養教育部教職課程
-
木野 和代
広島国際大学心理科学部
-
木野 和代
(現)広島国際大学人間環境学部言語・コミュニケーション学科
関連論文
- 贈り物に付与された価値とモノへの愛着 : —贈り主による認知の分析—
- PC1-49 仮想的有能感の形成と文化的要因 : 中学生を対象に(人格)
- 仮想的有能感の構成概念妥当性の検討
- PG40 有能感が生活事態に伴う感情に与える影響 : 中・高校生の日常生活に焦点を当てて
- 大学生のレジリエンスと向社会的行動との関連 : 主観的ウェルビーイングを精神的健康の指標として
- 現代青年の友人関係における主観的ウェルビーイング : 共感性, 怒りの特性および表出傾向との関連
- 自尊感情と主観的ウェルビーイングからみた大学生の精神的健康 : 共感性およびストレス対処との関連
- 多次元共感性尺度作成の試み
- 自己と他者に関するメタ・ムード : 不快感情の調整過程に焦点を当てて
- PA034 仮想的有能感の発達的変化 : 横断データを用いた検討(ポスター発表A,研究発表)
- PA033 仮想的有能感尺度の妥当性検討(ポスター発表A,研究発表)
- 多次元共感性尺度(MES)の作成 : 自己指向・他者指向の弁別に焦点を当てて
- 大学生の接近・回避目標と精神的健康
- PD57 青年期における共感性II : 情緒反応の指向性に注目した援助行動の予測(社会,ポスター発表D)
- PD56 青年期における共感性I : 多次元共感性尺度の作成と信頼性・妥当性検討(社会,ポスター発表D)
- 友人の不快感情調整に関わる要因の検討 : 女子青年を対象に
- 怒り表出行動の対人的影響--被表出者の視点から
- 怒り反応傾向と精神的健康および個人内要因との関連
- 他者軽視に基づく仮想的有能感 : 自尊感情との比較から
- 怒り表出行動とその結果 : 怒りの表出が必要な場面に焦点をあてて
- 対人場面における怒りの表出および表出抑制に関わる経験の予備的分析
- PB47 対人場面における怒りの表出方法 : 受け手に及ぼす効果の認知
- 社会 E-6 対人場面における怒りの表出方法に関する検討
- 感情表出の仕方が他者に与える印象について : 日本と中国を比較して
- PF041 社会事象に対する感情反応を左右する要因の検討 : 対人行動および事象の種類
- モノへの愛着の分析--対人関係とのアナロジによる測定
- 謝罪場面における伝達メディアの適切さ (日本感性工学会研究論文集)
- PH025 怒りの主張的表出と攻撃的表出の規定因に関する検討 : 基本的信頼感・モデルの行動認知・行動の結果認知(ポスター発表H,研究発表)