大学生協の高度経済成長と学生生活 : 同志社生協経営諸資料の統計分析を通して
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概要
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1960,70年代における大学の姿を大学生協の経営と活動を通じて浮かび上がらせた,いわば戦後日本の大学の社会経済史的研究の試みである。世は格差・貧困問題がかまびすしく論じられ,かの小林多喜二『蟹工船』のベストセラー化が刮目される時代,月並みだが日本の先進国性,豊かさの質の多面的考察の必要性が求められる。大学の問題でも日本では,社会的エリート観の相違にもとづく歪んだ受益者負担主義の原則によって,個別的な親の授業料負担がかさむ一方,大学の福利厚生設備は劣悪であることが,欧米とくにヨーロッパとは相違異なる特徴ではないか。その大学施設の劣悪さを歴史的に補ってきた大学生協の存在も,日本の大学に独自な特徴といえよう。学生の生活が格段に豊かになった現在からみると,1960,70年代は離陸の直前もしくは豊かさがまだ十分に学生の生活に浸透していなかった。この時代の学生の生活と大学生協の関係,生協の経営と特質・性格の分析を通じて,現在の生協のあり方を歴史的に位置づけるとともに,今後の活動の指針を考える手がかりとする。結果的に,全国大学生協連合会会長を務めた故福武直の,その後の生協のあり方に大きな影響を与えたいわゆる「会長所感」(1978年)の「頼りにされる大学生協」論に通底する実態が明らかになった。
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