学校教師のビリーフに関する研究 : 小学校・中学校・高等学校教師の比較(岡本勝教授追悼号)
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概要
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河村・國分(1996)は,教師特有のイラショナルビリーフを測定する尺度を作成した。この尺度は,小学校教師向けに作られたものであるが,本研究では,小学校教師のみならず,中学校,高校教師にも,これらの項目を尋ね,教師の信念尺度を再構成した。この新しい尺度は,1)「毅然とした集団指導」,2)「教職への熱意」,3)「敬慕される教師像」の3下位尺度から構成された。高校教師の「教職への熱意」および「敬慕される教師像」に関する信念の平均得点は,小・中学校教師より低かった。教師の信念とその他の3つの変数,1)「教師-生徒関係」,2)「同僚との関係」,3)「教育上の成果」との関連を検討した結果,「教職への熱意」→「教師-生徒関係」・「同僚関係」→「教育上の成果」をつなぐ正のパスが認められた。したがって,「教職への熱意」に関する信念は,イラショナルビリーフとみなすことはできないと考えられた。高校教師は,小・中学校教師に比して,「教職への熱意」の得点が低いため,高校教師には,何らかの問題がある可能性が示唆された。また,「毅然とした集団指導」から「教師-生徒関係」へのパスが負になったため,「毅然とした集団指導」は,生徒との関係に負の影響を及ぼす,小・中・高の教師が共通して持つイラショナルビリーフである可能性が示唆された。
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