複合PSP計測システムの研究開発
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概要
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JAXA 総合技術研究本部(Institute of Aerospace Technology: IAT)風洞技術開発センター(Wind Tunnel Technology Center: WINTEC)では,感圧塗料(Pressure-Sensitive Paint: PSP)を利用した表面圧力場計測技術の研究開発を行なっている.PSP計測は従来の電子式センサーによる計測と比較して,安価で手軽に風洞模型全面の圧力場を可視化することができる利点がある.しかし,PSPの発光強度は圧力だけではなく温度にも依存するため,計測精度を高めるためにはPSP温度補正が不可欠である.過去の実験において,IRカメラを利用した温度補正により計測精度を改善することに成功している.しかし,赤外線(IR)カメラ計測では,周辺温度の写りこみや,マーカーが検出できないなどの問題があり,さらに2種類の異なる計測システムを操作する煩雑さがあるため実用計測システムには不向きである.そこで,上記したIRカメラ併用システムの問題を解消する計測システムとして,PSPに感温色素を混合した複合感圧塗料(複合PSP)の研究を開始した.複合PSPに使用する感温色素は,大阪大学と共同開発をした.複合PSPシステムの技術実証として,JAXA2m×2m低速風洞試験に適用し,複合PSP計測システムの有効性を評価した.その結果,従来の方法(通風直後の無風時画像を用いた計測法)よりも定量的に計測精度を向上させることができ,本システムの温度補正機能が有効であることが実証された.一様流速U∞=50m/sにおいて計測精度は約150Paを達成した.また,複合PSPシステムの利点として,IRカメラを併用するシステムよりも使い勝手が良く,実用システムとして有望であることが確認できた.
著者
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和田 雄二
東京工業大学
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中北 和之
宇宙航空研究開発機構総合技術研究本部風洞技術開発センター
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渡辺 重哉
宇宙航空研究開発機構総合技術研究本部事業推進本部
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満尾 和徳
宇宙航空研究開発機構 研究開発本部
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栗田 充
宇宙航空研究開発機構 研究開発本部
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藤井 啓介
宇宙航空研究開発機構
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渡辺 重哉
宇宙航空研究開発機構 研究開発本部
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渡辺 重哉
宇宙航空研究開発機構総合技術研究本部風洞技術開発センター
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渡辺 重哉
宇宙航空研究開発機構
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和田 雄二
東京工業大学大学院 理工学研究科
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和田 雄二
東京工業大学大学院理工学研究科
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和田 雄二
大阪大学大学院工学研究科物質・生命工学
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中北 和之
宇宙航空研究開発機構 研究開発本部
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伊藤 正剛
Ihiエアロスペースエンジニアリング
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藤井 啓介
宇宙航空研究開発機構総合技術研究本部 風洞技術開発センター
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藤井 啓介
宇宙航空研究開発機構 研究開発本部 風洞技術開発センター
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和田 雄二
東京工大
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片桐 真也
大阪大学大学院工学研究科生命先端工学専攻
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満尾 和徳
宇宙航空研究開発機構
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伊藤 正岡
Ihiエアロスペースエンジニアリング
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