黒龍江省大豆生産地帯の構造変動 : 嫩江県東昇村5隊を事例として
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概要
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中国経済の成長は、製造業、都市部の経済だけでなく、農村部をも大きく変化させ始めている。かつては純粋な農業地帯であり、大豆の大生産地として知られてきた黒竜江省嫩江県東昇村も大きな変化に見舞われている。同村では生産請負制への移行後、大豆、小麦、トウモロコシなどの輪作から大豆単作へとシフトしてきた。その結果、連作障害、薬害が現れ、最近では、3,000kg/haもあった大豆の単収が2,000kg/ha〜1,800kg前後へと大きく後退してきた。また、WTO加盟により大豆輸入国となった影響で、大豆価格が低迷し、農家経済は厳しい状況におかれている。さらに大きな変化は、若者、壮年者の大都市への出稼ぎである。500人ほどの集落で75人もの人達が近隣の都市部、農場、遠隔地の瀋陽、大連、さらにはロシアにまで出稼ぎに出ている。出稼ぎの場合、請負農地を貸し出すので、集落内には、規模拡大農家も現れ始めている。しかし、黒竜江省政府は、自己完結型の規模拡大農家を育成しようとは考えていないことは、「統種分管」(大型機械の利用によって播種、耕起、収穫の各作業を統一し、管理作業を分散=農家が実施)、「場県共建」(国営農場と県との協力、大型機械を国営農場から借用)のスローガンから理解される。したがって、現在、黒竜江省農村部は、自己完結型の規模拡大農家の形成の道と「統種分管」型、現行システムの発展の道との二つの道の分岐点に立っているように思われる。後者の側からの迅速な対応がなければ、前者の道が優勢になる可能性が十分存在する。
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