「親となる力」を形成する過程の分析 : 初回健診で妊婦と助産師はどのような関係にあるのか
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概要
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背景 今日、児童虐待に代表されるような育児問題は大きな社会的問題になってきている。そこで、それらの問題を解決するための方法も取り組まれてきている。しかしながら、これらの多くは子どもが産まれてからの対応に焦点をあてたものであり、妊娠期からの支援は少ない。特に「親となる力」を育むために妊娠期での他者との関係性に焦点をあてたものは見あたらない。目的 本稿では親となる形成過程を明らかにする第一段階として、看護識者(助産師)が妊婦にどのように関わり、妊婦と助産師がどのような関係にあるのかを明らかにする。方法 1. N市の助産院に来院した妊婦26人の健診場面を参加観察した。2.初めての健診で、妊婦自らが満足したと語った3人を分析対象とした。3.同意が得られた妊婦と助産師の会話や表情、しぐさといったノンバーバルコミュニケーションの全内容を記述し分析を行った。結果 3人の妊婦はそれぞれ心配事、不安や悩みを持っていた。これらは助産師との対話の中で語られた。診察室では、妊婦たちはあせらされることなく自分のペースで行動し、ゆったりと思い出しながら話すことが出来ていた。彼女たちは助産師に妊娠に伴う身体的な変化を把握してもらうだけでなく、生活全般の悩みを助産師に語っていた。一方、助産師は妊娠や健康に関する項目を明確に質問している。しかし妊婦の不安、迷いの訴えに対しては、さりげなく尋ね、妊婦たちの思いを無理に聞き出すことはしていない。妊婦たちを見つめながら、気持ちのこもったタイミングのよい相づちを打つだけであった。結論 初回の妊婦健診において助産師と妊婦たちの関係は、信頼(甘えることができる)関係を形成していた。
著者
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