精神統御に関する心理学的研究 : 精神集中と脳電図α波について
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概要
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禅の心理生理学的研究の興味は,禅によって主体内に生じた変化が,人間の精神生活および社会生活上,多くの好ましい作用を及ぼすと考えられる点にある。本論では、坐禅中に生ずる脳電図α波を中心とした徐波化・高電圧化の傾向に注目し,この現象の心理生理的性質を考察する過程で,脳電図α波の特性と特殊性,その心理生理的多様性を,文献的研究と実験的研究によって明らかにした。脳電図α波は,従来,大脳皮質の興奮水準の低下による意識水準の低下した状態で出現する波であるとみなされてきているが,注意の集中,心像,演算等の精神活動中にも出現する。この精神活動中の脳電図α波の諸特性の検討から,脳電図の帯域変動を生ぜしめる心理生理的要因は,複数であり,従来主張されてきた,精神活動時のα-blockingに関する理論は,脳電図のもつ多くの性質の内の特殊な一面を示すに過ぎないことを明らかにした。従って,坐禅の瞑想中に生ずる脳電図の徐波化・高電圧化の傾向も,従来主張されているような,大脳皮質興奮水準の低下による意識機能の低下を示すものとはいえず,むしろ瞑想による心身機能の特異な高まりを示すものであると考えられる。
- 駒澤大学の論文
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