肥満ラットのエネルギーバランスにおける寒冷曝露の影響(兵庫医科大学医学会平成18年度学術講演会要旨)
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概要
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ラットを長期間,寒冷環境におくと体温維持のため代謝量の増加,非ふるえ熱産生量の増加,力ロリー摂取量の増加,体重増加の抑制がみられる.副腎重量は増加し,褐色脂肪組織(BAT)の増量と,脂肪含量の減少,脂肪滴の細粒化,ミトコンドリア数,血流の増加,UCP1,GLUT4の発現増加がみられる.寒冷順化後25℃に2週間戻すと,体重,摂餌量,副腎重量,25℃での代謝量等は対照群と同様のレベルになるがBATや低温に対する熱産生機構は寒冷順化の状態をかなり残した.レプチン受容体が欠損したZucker肥満ratにおいても同様の傾向を示したが,寒冷曝露により摂餌量はあまり増加せず,体重増加の抑制が著しい.脱順化後の体重回復も遅れた.寒冷順化により10℃における酸素消費量はZucker leanラットより著しく増加し,BATは非常に活性化された.血液の脂質量やホルモン値も改善され,長期寒冷曝露は肥満ラットのエネルギー代謝によい影響を与えた.一方,CCK受容体に欠陥をもつOLETFラットでは,寒冷順化時の摂餌量や体重増加の抑制の様式は正常ラットと類似していた.肥満や寒冷曝露はBATにおける多くのエネルギー代謝関連タンパク質の発現に変化をひき起こした.
- 兵庫医科大学の論文
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