拘禁刑(Imprisonment)の活用のされ方の違いを説明する(グローバル化する厳罰化ポピュリズムとその対策)
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概要
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この論文は,先進諸国における刑罰の厳しさの違いを説明しようとするものである.分析においては,市民感情,社会・経済・政治的要素,そして犯罪に関連する多くの要素を考慮に入れた横断的分析,そして経年による分析を行った.主な知見は以下の通りである.拘禁率(imprisonment rate)の違いは,犯罪の違いによって説明することはできない.その代わりに,刑罰の厳しさは,市民感情(恐怖,相互信頼度,厳罰的傾向(punitivity)),福祉給付の程度,収入の平等度の違い,政治文化などと密接な関連性を有している.たとえば,スカンディナビア諸国の刑罰モデルは,合意形成的(consensual)で労使協調的(corporatist)な政治文化や,高いレベルでの社会的信頼や政治的正当性,強大な福祉国家といったものにその根を有しているのである.またこの論文では,上記のような統計的関連性の背後にある,なぜ,そしていかにして,政治文化における諸特徴,福祉政策の中身,市民感情の違いなどが刑罰政策に影響を与えるのか,といったことを説明することも狙いとしている.こうしたことと並んで,人口統計,メディア文化の違い,司法・法学的伝統,専門職エリートの役割,といったその他の要素にも焦点を当てている.分析の多くは,国際調査からの量的なデータに基づいたものである.犯罪,社会感情に関する調査データは,主に国際犯罪被害調査(International Crime Victimization Surveys),欧州社会調査(European Social Survey),世界価値観調査(World Value Surveys)から得ている.社会・経済・政治的指標に関するデータは,主にOECD,欧州委員会統計局(Eurostat),国際連合,欧州連合(EU)の社会的指標システム(European Union System of Social Indicators)から得ている.欧州評議会(The Council of Europe)の資料集は,異なる国々の国家統計によって補完された犯罪統計・行刑統計の基礎を提供してくれた.
- 2008-10-20
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