グロリオサの花芽分化節位に及ぼす地温ならびに催芽温度の影響(発育制御)
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概要
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周年生産されているグロリオサの花芽分化と温度との関係を把握するため,'ミサトレッド'と'トロピカルレッド'および'ローズクイーン'を用いて,地温や催芽の温度・期間が花芽の分化に及ぼす影響について検討した.'ミサトレッド'と'トロピカルレッド'では19.1℃,31.6℃のいずれの地温でも同様の節位で花芽分化したが,'ローズクイーン'の花芽分化節位は19.1℃に比べて31.6℃の地温条件下で著しく高かった.15〜40℃で56日間催芽すると,'ミサトレッド'では30℃以下,'トロピカルレッド'では35℃以下で催芽中に花芽分化した.'ローズクイーン'ではいずれの温度でも催芽中には花芽分化せず,基本栄養成長量の大きな品種と考えられた.いずれの品種においても葉分化には30℃かやや低い温度が適したが,花芽分化節位は催芽温度が低いほど低く,花芽分化のための好適温度は葉分化の好適温度より低いと考えられた.さらに,'ミサトレッド'では30℃で25日間,'トロピカルレッド'と'ローズクイーン'では30℃で15日間催芽した後に15℃で15日間処理することにより,30℃で30日間催芽した場合よりも花芽分化節位が低下した.すなわち,30℃条件下に一定以上の期間を置かれると基本栄養成長を脱するが,30℃そのものは花芽分化を抑制する温度であることから,15℃に移すことで速やかに花芽分化したものと考えられた.このように,茎葉の成長を促進させる温度域より,栄養相から生殖相への相転換を促進する温度域が低いことや,相転換に要する期間や基本栄養成長量,高い温度域での相転換の抑制温度が品種によって異なることが,催芽や定植後の温度に対する反応性の品種間差を生じ,花芽分化節位の品種間差異として現れたものと考えられた.
- 2008-10-15
著者
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深井 誠一
愛媛大学大学院連合農学研究科:香川大学農学部
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二宮 千登志
高知県農業技術センター
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西内 隆志
高知県農業技術センター
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平石 真紀
高知県農業技術センター
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二宮 千登志
高知県農業技術センター:愛媛大学大学院連合農学研究科
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