クロマツ切り枝における皮層樹脂道の形質とマツノザイセンチュウの移動との関係
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概要
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マツノザイセンチュウ抵抗性家系(波方ク-73号,以下波方73)と非選抜のクロマツ当年生枝から作製した長さ10cmの切り枝にマツノザイセンチュウ(以下,線虫)を接種し,3日後に切り枝を通過した線虫数と切り枝内での線虫の分布を調べた。また,切り枝の皮層樹脂道の数と断面積を測定した。波方73よりも非選抜マツの方が,皮層樹脂道の平均断面積や断面積合計は大きかった。波方73では非選抜マツよりも線虫の移動が抑制されており,接種3日後には非選抜マツでは半数近くの線虫が切り枝を通過していたのに対し,波方73では,多くの線虫が接種部位付近に留まっていた。非選抜マツでは,皮層樹脂道の断面積合計が大きい切り枝ほど,通過した線虫数が多かった。これらの結果から,皮層樹脂道の量的形質は線虫の移動に影響を与えており,量的形質の指標となる樹脂道断面積合計によりクロマツの抵抗性のレベルを表現できる可能性が示唆された。
- 2006-08-01