黒毛和種妊娠牛の末梢血中M-CSF濃度の推移(臨床繁殖学)
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概要
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造血系のサイトカインの一つであるマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)は,ヒトやマウスの妊娠の成立,維持に関与している.M-CSF遺伝子発現はウシ子宮内膜でも認められ,その発現強度が妊娠経過とともに上昇傾向を示すことから,ウシにおいてもM-CSFが妊娠現象に関係することが示唆されている.本研究では,黒毛和種妊娠牛の末梢血中M-CSF濃度推移をELISAにより測定し,実験1では125頭の妊娠牛と21頭の非妊娠牛を供試して妊娠ステージと血中M-CSF濃度との関係を,実験2では6頭の雌ウシを供試して妊娠期間中の血中M-CSF濃度の経時的な推移を調査した.妊娠ステージ別にみると,血中M-CSF濃度は妊娠1ヶ月で最も高く,妊娠3ヶ月と妊娠末期で低値を,妊娠4ヶ月から妊娠7ヶ月にかけて増加傾向を示した.経時的な推移としては,血中M-CSF濃度は妊娠2週まで高値を示した後に,妊娠2週から9週にかけて妊娠6週をピークとした一峰性の減少,増加を示し,その後妊娠9から27週にかけてほぼ一定の値を維持し,妊娠27から40週にかけて減少した.経時的なM-CSF濃度推移は,時間的なズレが認められたが,妊娠ステージ別での変化と同様のパターンを示した.妊娠牛の末梢血中M-CSF濃度は妊娠経過に従って一定のパターンで推移しており,その推移は子宮内膜や胎盤でのM-CSF産生を反映していることが示唆された.
- 2008-08-25
著者
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山本 直幸
農林水産省北海道農業試験場
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山本 直幸
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構近畿中国四国農業研究センター
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山本 直幸
農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センター 畜産草地部
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小島 孝敏
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構近畿中国四国農業研究センター
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大島 一修
(独)近畿中国四国農業研究センター
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吉原 一浩
(独)動物衛生研究所
-
小島 孝敏
(独)近畿中国四国農業研究センター
-
小松 正憲
(独)近畿中国四国農業研究センター
-
山本 直幸
(独)近畿中国四国農業研究センター
-
大島 一修
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構近畿中国四国農業研究センター
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