気管支分岐異常領域に発生した肺癌に対して左肺S^<1+2>区域切除術を施行した1例

概要

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背景.気管支鏡検査の普及に加え,近年のCTの精度向上に伴い,肺癌の術前精査時に気管支分岐異常に気付くことは珍しくない.症例.81歳,女性.検診の胸部X線写真にて左上肺野,鎖骨に重なるように約2cm大の腫瘤陰影を指摘され当科を受診した.胸部CTでは左肺S^<1+2>_aに,辺縁部にすりガラス状陰影,胸膜嵌入を伴う境界不明瞭な28mm大の腫瘤を認めた.気管支鏡検査で左主気管支から直接分岐する転位性分岐異常(左B^<1+2>)を認めた.術前確定診断は得られなかったものの,原発性肺癌(cT1N0M0,stageIA)を強く疑い,左肺S^<1+2>区域切除術を施行した.病理組織検査にて原発性肺癌(腺癌,pT1N0M0,stageIA)と診断された.結論.気管支分岐異常を伴う肺癌手術では,リンパ節郭清を含めた術中操作を安全に行うために,術前の肺動脈走行異常の検索が重要であると考えられた。特に,左B^<1+2>の中枢側への転位症例ではB^<1+2>が肺動脈幹の背側を迂回する解剖学的な異常が考えられた.
日本呼吸器内視鏡学会の論文
2008-07-25