新生児期のタッチケアが母親の対児感情に及ぼす要因

概要

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本研究の目的は,新生児期から母親が子どもにタッチケアを始めることによって,母親の対児感清の変容過程に関与する要因を明らかにすることである。対象者は経膣分娩した母親と新生児110組で,その中から産後3日から1ヵ月健診までの約1ヵ月間,タッチケアを行う母親を実施群とし,行わない母親を対照群とした。両群には,産後3日以内と1ヵ月健診時の2時点に対児感情尺度を実施した。その結果,実施群は平均出生体重-1SD以下の子どもをもつ母親,25歳未満の母親,人工栄養主体の母親において,有意に接近感情の上昇がみられた。これは,母子間の肌の触れ合いが増したことから,母親の子どもを受容する感情が高まったのではないかと考える。今日多くの母親は子どもとの触れ合いの欠如が,その後の母子関係に影響を及ぼすという知識は乏しい。これは母親だけの問題ではなく,タッチケアの有効性や技術を医療従事者に浸透していないことが原因であろう。したがって,妊娠中には子どもに触れることの重要性を伝え,産後には指導内容にタッチケアを取り入れていくことが望ましい。それらの実践が,より良好な母子関係を築くための援助につながるだろう。