貴金属ナノ構造を利用したナノバイオフォトニクス計測(<特集>コンビバイオとナノバイオのコラボによる新しい世界の開拓-バイオテクノロジーの未来のかたち-)
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概要
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金や銀などの貴金属が光の波長よりも小さなナノ構造を形成すると,自由電子の集団振動が可視域の光によって励振される表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance, SPR)が起こる.SPR特性は可視域の光の反射,吸収,散乱強度やスペクトルに反映され,分子吸着などによる金属表面近傍の環境変化に依存する.また,金属ナノ構造近傍の局所領域では,SPRによって光電場が増強され,吸着分子と光が強く相互作用することが知られている.したがって,ナノ構造を持つ貴金属表面に酵素,抗体,核酸などのバイオレセプターを固定化すると,選択的結合や特異触媒反応(抗原-抗体反応,DNAハイブリダイゼーション,酵素反応,イオンチャンネルなど)を可視域の光信号変化として高感度に検出できると考えられ,ナノテクノロジー,バイオロジー,フォトニクスが融合したナノバイオフォトニクス分野におけるホットな研究テーマである.ナノプロセッシング技術を駆使してシリコンやガラス基板表面に人工的に作製した金属ナノ構造だけでなく,主に化学合成で作られる金属ナノ粒子も,SPRに起因する特有の光学特性を示す.前者にはない金属ナノ粒子の大きな利点の一つが,液中や細胞内の任意の場所において生体分子やバイオ反応を検出するためのナノプローブとして利用できる点である.本稿では,我々が取り組んでいる貴金属ナノ構造,ナノ粒子によるバイオフォトニクス計測について紹介する.
- 2008-06-25
著者
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