デジタルビデオカメラを用いた矢状面歩行解析におけるマーカー位置の計測誤差

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民生用デジタルカメラとビデオ画像を簡便に扱えるパソコンの普及により,二次元での運動解析を臨床で行うことが可能になった。本研究では,デジタルビデオカメラとパソコンによる簡易運動計測システムの臨床における適応範囲を見極めるため,矢状面での歩行を対象に簡易運動計測システムで得られる関節位置座標と,主に研究用途で用いられている三次元動作解析システムで得られる関節位置座標を比較し,その計測精度を検討することを目的とした。対象は健常成人男性9名(平均身長169.9±5.6cm,体重64.1±6.2kg,年齢20.1±1.3歳)とし,各被験者の股関節・膝関節・足関節・つま先に赤外線発光マーカーを貼付し,最適歩行速度で歩かせた。それらの赤外線発光マーカーの矢状面における位置座標の計測を,簡易運動計測システムと三次元動作解析システムとを同期させて行った。簡易計測システムでは,ビデオカメラでの撮影時に生じる視差を,考案したセグメント変換法にて補正することも試みた。両システムで計測されたマーカー位置の軌跡の一致度を相関分析で比較した結果,視差の補正の有無に関わらず,股関節,膝関節,足関節,つま先の位置座標とも相関係数が0.95以上と軌跡のパターンにおいては,高い一致を示した。また,セグメント長の誤差は,4%未満であった。両システムの差の大きさとしては,今回の撮影の範囲設定(1.9 m×3.4 m)においては,つま先の鉛直方向座標位置で,視差の補正を行わない場合平均2.5 cmの差が見られた。しかしながら,視差の補正を行うと,その差は1.5 cmに縮小した。以上のことより,矢状面における歩行を二次元の簡易システムで計測した場合,関節位置の動きのパターンを捉える上では,高価な三次元システムと同様の傾向を捉えることが可能であるが,つま先が床から何センチ上がっているかといった,距離の大きさを議論する場合は,カメラによる視差を考慮に入れる必要があると示唆された。
2008-06-20

デジタルビデオカメラを用いた矢状面歩行解析におけるマーカー位置の計測誤差

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