ニツケルによる硝子の着色
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概要
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ニツケル, ニツケル酸化物並に塩類は硝子工業に於て着色剤, 脱色剤並に紫外線を利用する信号燈用硝子に混じて光線を濾過せしむる用をなす場合等に用ゐらる, 著者はニツケルの着色作用を研究し, ニツケルによる着色は安定にして硝酸加里又は硝酸曹達等の酸化剤, 酒石酸加里の如き還元剤, 亞砒酸の如き清透剤を加えたる場合によりて着色の変化なく, 又酸化ニツケルの代りに金属ニツケル又は炭酸ニツケルを加うるも着色に変化なし, 硝子の成分をaR'_2O.bR''O. x SiO_2又はaR'_2O. br''O. cB_2O_3. x SiO_2とするとニツケルの着色はR'_2Oの種類により異なり, 即ち加里の場合は紫色を呈し曹達の場合は褐色を呈し且常に暗色を帯ぶ, 但しニツケル多量となれば加里と曹達による着色の差違漸次不明瞭となる, R''Oによる着色の差は著しからず, 唯重土硝子に於て特殊の着色をなすのみ, 又硼酸を含む硝子にては加里硝子にても幾分紅色を帯び純紫色を呈せず, さればニツケルにより紫色硝子を作るには加里硝子を適當とすべく, 面してニツケル脱色剤とする場合にも曹達硝子は幾分暗色を帯ぶる事等を実験によりて決論せり。
- 1922-09-20
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