高度経済成長期における日本,中国の木材消費構造に関する比較研究
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概要
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本研究は時系列分析を通じて高度経済成長期における日本と中国の木材消費構造の変動を比較し,以下の諸点を明らかにした。(1)木材消費量の増大とそれに伴う自給率の低下が日中両国にともにみられたが,日本の木材自給率の低下は外材依存体制を確立させるほど急激的なものであるのに対して,中国の木材自給率は国産材自給体制下に緩やかに低下してきている。(2)日本の木材消費は燃料革命によって用材消費という1部門に収斂してきたのに対して,中国においては用材と薪炭材という2部門からなる部門構造が維持されている。(3)日中両国は木材製品(合板,紙・板紙)の消費量が増大するところに共通している一方,日本の自給率は全品目で低下してきたが,中国の自給率には合板の低下から上昇へ,紙・板紙のさらに低下へという異なった変動がみられる。(4)日中両国の木材,木材製品の消費水準はともに上昇するが,同じ経済水準下に消費性向の高さによって日本は中国を大きく上回る。また,回帰分析を通じて日本の木材消費は中国のそれより社会・経済的要素に強く影響されることも明かにした。
- 1999-03-20
著者
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