森林の水源涵養機能と費用分担について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
水源涵養機能と森林施業との関係について,(1)木材生産のための施業が同時に水源涵養機能を向上させると仮定した場合,(2)水源涵養機能を最大化する施業と木材生産量を最大化する施業は同一ではなく,社会的便益の最大化のためには,両者のトレードオフを考慮する必要があると考えた場合,(3)森林でさえあれば通常の施業による水源涵養機能の大きさに顕著な違いは認められず,皆伐による一時的無立木地化や転用によってのみ水源涵養機能は変化すると仮定した場合の3種類のケースについて,育林生産に収益性が期待される場合と,期待できない場合とに分けて,最適な施業と費用分担のあり方を考察するとともに仮定の妥当性について検討した。その結果,水源涵養による便益を確保するための費用負担という意味では,転用防止のための林地買い取り費用などが主体となる可能性があるが,積極的に施業費用の負担を求めるためには,施業による便益の貨幣的評価が困難なことをふまえると,まず上流側で森林施業計画の選択肢とそれによって導かれる森林の状態等を示し,その施業のためにかかる追加的な費用を明らかにしたうえで負担の是非を問うのが妥当と考えられる。
- 1998-10-01
著者
関連論文
- 主要な森林気象災害の林齢別被害率の推定と考察
- ザンジバルにおける「鎮守の森」の管理とエコツーリズム利用の可能性
- カナダの国家森林資源調査--調査システムと京都議定書への利用
- フランス、ドイツ、スウェーデンの国家森林資源調査--調査システムと京都議定書への利用
- 森林政策と環境(2003年春季大会シンポジウムコメント)
- 経済体制移行諸国の国家森林計画とリトアニアの森林・林業
- 環境学の技法, 百弘之編, 東京大学出版会, 284ページ, 2002年4月, 3200円+税
- 経済体制移行諸国の国家森林計画とリトアニアの森林・林業
- 林の値段をはかる(シリーズ森をはかる その10)
- 森林の水源涵養機能と費用分担について
- 森林の伐採と転用が支持されるための条件(発展途上国における森林管理問題,1995年秋季大会)
- 森林総合研究所において日本-フィンランド国際林業研究セミナーを開催 : 森林・林業・木材研究の現状と将来を考える
- 森林資源に関するU字仮説の検討(III 1992年秋季大会)
- FOREST MANAGEMENT AND ECONOMICS-A Primer in Quantitative Methods-(数理的手法による森林経理・経済学入門), Joseph BUONGIORNO, J. Keith GILLESS共著, 285ページ, Macmillan Publishing Company, New York, 1987年
- 中小林家論について(1988年度第1回例会コメント)
- 森林所有者の意思決定と社会関係 : 取引費用経済学の視点から
- 基準・指標の理念に基づく森林計画手法に関する検討
- 21世紀における持続可能性の新たな展開と森林資源問題 : 資源転換とplantation林業の行方(林業経済学会2009年春季大会シンポジウム報告)
- 土地利用の歴史から見た林業と生物多様性 : オーバーユースからアンダーユース,そしてwin-winへ(北方森林学会大会シンポジウム「生物多様性保全をいかに地域で具現化するか?」)
- 欧州における私有林経営の組織イノベーション(ヨーロッパ林業の最前線-組織・制度に焦点をあてて-)
- 森林施業規制の国際比較研究 : 欧州諸国を中心として
- タイにおける土地利用政策と保存林の再区分問題(I)
- タイにおける土地利用政策と保存林の再区分問題(II)-(1)
- 田坂敏雄著, 「熱帯林破壊と貧困化の経済学」-タイ資本主義化の地域問題-, お茶の水書房, 一九九一年二月, 二八二頁, 三、六〇五円
- 3 タイにおける森林減少と土地利用変化の過程について(熱帯地域の森林と社会(I)-東南アジアを中心として-)
- 第一報告 森林の伐採と転用が支持されるための条件 : 再考(発展途上国における森林管理問題,1995年度林業経済学会秋季大会)
- The Global Forest Products Model: Structure, estimation, and applications(世界林産物市場モデル:その構造、推計と応用), Academic Press/Elsevier Science, 2003, 301頁, ISBN:0-12-141362-4, 64.95米ドル
- 福岡克也著, 「エコロジー経済学 : 生態系の管理と再生戦略」, 有斐閣, 一九九八年一二月, 二八〇〇円+税, 二八三頁+xi