言語発達遅滞児の一指導法の検討
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概要
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(1)まったく表出言語のないものからほぼ伝達可能な言語発達遅滞幼児4名の指導をおこない、単元構成のための動機づけの方法、指導回数、時間、刺激言語などの検討をおこなった。(2)指導の内容は、子どもが興味をもっている遊びを中心に単元を構成し、1単元10分づつ遊びを中心に言語治療指導方式で9回にわたって指導をおこなった。(3)6単元のうち、3単元ではテレビを導入し、あらかじめ集録した同一単元での子どもの遊びを最初の5分間視聴させ、効果を検討した。(4)それぞれの単元に15語の刺激言語を準備し、指導の中で意図的にくり返し、定着化を図った。(5)指導回数の検討のため、I期、II期、III期に分類しあらわれた言語・行動を比較したところケースによってその傾向に差違のあることがわかった。しかし、ほぼII期、4-6回で行動の改善が最もみとめられ、以後、下降することがわかった。(6)テレビとり入れ単元とその他単元とではむしろ、テレビとり入れ単元で行動が散乱的になることがわかった。発達の障害の重度な幼児の場合、一対一指導の念入りな経験を積ませることから徐々に導入すべきであることを示唆している。(7)10分間にわたる指導時間の推移を分析的に検討したところ、およそ5分〜8分までの問で最も行動の凝集が高かったことがわかった。今後の単元構成の際の時間を規定する一応の目安となろう。(8)単元の中で行動の凝集がみとめられる傾向の強かったものは1)身辺生活2)非対人的なものひとり遊び)であった。特にこの傾向は発達の重度なものでは著しかった。(9)刺激言語のうち発話された内容の分析をおこなったところ、ケースによって大きな差がしめされた。また刺激言語の発語率にも差があった。発語率は発達的に重度のものでは低く、刺激語を低減する必要が考えられた。(10)発語され易すい条件として、子どもの構音能力の実態、言語の行動化、興味の重視などが症例の発語内容の分析からあきらかとなった。
- 1970-12-01
著者
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