乳幼児期における脳性まひ児の運動および精神発達
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
CP児に早期の治療または教育をするためには、(1)CP児を早期に発見すること、(2)乳幼児期におけるCP児の身体的および精神的な行動発達の特徴を知ることが前提となる。その手がかりとして遠城寺式乳幼児分析的発達検査を用いて、4才未満のCP児50名についてテストした結果をまとめた。〔結果〕(1)CP乳幼児の発達は、移動運動に顕著な遅滞がみられる。これは年令が進むにつれて著しくなる。(2)(1)の原因として「ひとり立ち」できるか否かが大きな分れめとなっている。多くの者はこれが達成できない。(3)多くの児童は全領域移動、手、言語、情意、知、社会的発達の6つにわたって遅滞がみられる。(4)精神発達の面では、どの領域も2才児まではあまり著しい遅れはないが、3才児で来院した者は著しく低い。年令が大きくなって来院しているものには訓練や教育の対象にならないような重症者も多い。(5)言語発達、知的発達、社会的発達に比べて、情意の発達の遅れはやや少い。(6)年令が1才以下では障害の様子はあまり明瞭でないが、2才近くになると大体明らかになる。(7)CP児の発達にはむらがあり、個人差も大きい。以上のような結果からも今後は、さらに多くの症例について発達の経過をとらえ、その間の訓練や教育との相関をみる必要があろう。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1970-06-01