2,3の無機塩類の殺草効果に関する研究 : 1.クロレートソーダの殺草効果の草種間差異について
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概要
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1.クロレートソーダの殺草効果が草種によつて程度を異にすることを明確にするため,第1実験として,いね科,まめ科および十字科より計4種を選び,濃度を異にするNaClO_3溶液に幼植物を培養すことにより,それらのNaClO_3に対する抵抗性の差異を検し,また第2実験として,えんばくとやはずえんどうの幼植物を濃度の異なるNaClO_3溶液に培養し,被害度を調べると共に,蒸散量との関係を求めた。2.第1実験の結果は,NaClO_3に対する抵抗性は草種により明らかに異なることを示し,まめ科に属するつるまめと白クローバーが最も強く,いね科のえんばくがこれに次ぎ,十字科のルタバガが最も弱かつた。3.第2実験の結果によれば,第1にやはずえんどうはえんばくよりも被害度が少なく,第2にえんばくの根は変色して機能を失つたが,やはずえんどうの根はほとんど変化なく,かつその溶液中に白濁を生じた。第3は,被害は萎凋の形で現はれたが,完全萎凋までに失う体分水分量は両種間にかなりの差があり,えんばくで10%ほどの減量があつたのに比し,やはずえんどうでは16%ほどの減量を見た。つまり,抵抗性の強いやはずえんどうはより多くの体内水分を失つて始めて完全に萎凋する。第4は,単位体重当りの蒸散量は同一濃度では抵抗性の強いやはずえんどうで多く,えんばくとの差は高濃度の場合ほど著しかつた。4.以上の結果から知られる点は,第1に,NaClO_3はむしろ弱選択性殺草剤とでもよばれるのが適当であつて,一般にまめ科に効果少く,次で単子葉のいね科などで,双子葉の広葉植物には著効がある。ただし宿根草は,当然のことではあるが,一年草より強い抵抗性を示す。第2に,本剤の殺草機作として,茎葉内で還元されて生ずるClO'の毒作用,または0↑の酸化力によるとされているが,さらに根の機能の面からも考える必要がありそうである。第3に,薬害と蒸散量との間には逆比例的関係がある。第2実験については後でしたい。
- 日本草地学会の論文
- 1958-03-30
著者
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