低水分サイレージ調製における予乾と密封の効果

概要

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1.前年秋まきした混ぱ牧草の5番草を材料とし,その水分を予乾により約75,60,40%の3水準とし,それぞれを密封サイロと従来の開放加重サイロに詰込み,約45日間貯蔵した。容積当りの詰込み乾物量は低水分のものほど多かった。2.貯蔵による乾物損失は変質やかび着生によるものも含めて低水分のものほど少なく,また密封区では開放加重区より少なかった。40%と60%水分で密封したものでは損失量は僅かに3%以内に止った。3.乳酸生成量については密封区が開放加重区より,また40,60%水分区は75%区より多かった。醋酸などの揮発酸生成量は乳酸の場合と逆傾向を示し,したがって乳酸の揮発酸に対する割合は密封低水分区で最大となった。アンモニア態窒素の全窒素に対する比は低水分材料ほど小さく,また密封区が開放加重区より小さかった。4.このような密封と減水(予乾)の損失防止と品質向上に及ぼす効果は統計的にも有意であったが,密封60%区は密封40%区にくらべて,これらの点でほぼ匹敵した。5.以上の結果から,わが国の気象条件においてもほぼ1日の予乾で,加重なしに密封のみによって良質の低水分サイレージをつくることは技術的には可能であると考えられる。
日本草地学会の論文
1964-12-30