聞き取りと学習に困難を有する軽度発達障害児への中枢聴覚処理検査の適用
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概要
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7〜10歳の健常小学生32名と、日常の聞き取りと学習の困難を主訴とする軽度発達障害児7名に対し、中枢聴覚機能検査(両耳分離聴検査、圧縮語音聴取検査、両耳交互聴検査)を実施し、各児の聴覚処理特性と聞き取りの関係、および中枢聴覚処理障害(CAPD)の有無について検討した。健常児では、両耳分離聴検査で右耳優位傾向を保持しつつ、左耳の正答率が増大した以外、顕著な発達的な変化はみられなかった。一方、軽度発達障害児7名は4つに分類できた。3名は両耳分離聴検査のみで成績低下を示し、その他の行動上の問題がみられない児童であり、CAPDが疑われた。1名はすべての検査で健常児よりも成績が低く、言語発達の遅れと聴覚処理との関係が推測された。1名は認知機能の問題が聴覚処理課題に影響したと考えられた。残りの2名は検査では問題がみられなかった。類似した聞き取りの問題を抱える児童に対して検査を実施することで、個々の聴覚処理特性を明らかにし、背景要因を鑑別することができると考えた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 2006-07-31
著者
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