重症心身障害者における呼名に対する期待反応形成の試み : 心拍反応パタンにもとづく検討を中心に
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概要
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名前を単独で呼称(呼名)したときに生じる一過性心拍反応の発達水準が異なる重症心身障害者6名を対象に期待反応の形成を試み、この過程を情動表出と心拍指標により検討した。具体的には、各事例の呼名とそれに引き続く働きかけという、日常場面に類似した一対刺激の反復呈示を3日間継続して実施した。その結果、呼名に対して定位的減速反応が生じる事例では、行動指標に変化は認められないものの、心拍上は能動的加速反応が優勢に出現した。他方、呼名に対して能動的二相性反応が生じる事例では、期待反応を反映する三相性の心拍変動を示した。以上の結果は、具体的かかわりの継続が、彼らの刺激受容に関して、定位的反応を能動的反応へ、そして能動的反応をより高次な期待反応へと、発達的に高い水準への移行を促すことを示唆する。
- 2000-01-30
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