自閉症児に対するスクリプト・マニュアルを使った電話技能の教授とコミュニケーション技能の拡大

概要

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一般に、自閉症児は社会的場面におけるコミュニケーション行動が苦手とされている。その理由としては、コミュニケーション行動に必要な技能の獲得が不十分なことと、特定の場面においてその技能を行使する訓練が不足していることをあげることができる。したがって、コミュニケーション行動に必要な技能の獲得とその行使を適切に訓練することが重要である。本研究では、日常生活における基本的なコミュニケーション行動の一つとして電話によるコミュニケーションを取り上げた。電話技能を「受ける(受信)」と「かける(発信)」の二つに分け、それぞれの技能を行使する場面を設定して自閉症男児2名を訓練した。受信技能の行使では、「母親にかかってきた電話を対象児がとり、それを母親に知らせる」場面を設定した。発信技能については、「公衆電話から電話カードを使って、在宅の父親に帰宅を伝える」こととした。対象児にこれらの技能を分かり易く訓練するために、スクリプトの概念を利用して「電話マニュアル」を作成した。このマニュアルを用いて、玩具の電話や実際の電話、公衆電話を使用して電話技能を訓練した。訓練後、対象児たちは電話技能について刺激般化や維持般化を示すことがわかった。また、訓練終了から約5年経過した時期に、各対象児の母親に対して対象児たちの様子を聞き取り調査した。その結果、対象児たちは、両名とも日常的に電話を使用しており、コミュニケーション技能についても各児のペースで拡がりを示していることが明らかになった。
1997-09-30

自閉症児に対するスクリプト・マニュアルを使った電話技能の教授とコミュニケーション技能の拡大

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