重度精神遅滞児の音声表出に関する研究
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概要
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一重度精神遅滞児が変化に富んだ音声連鎖パターンを産出した。この音声表出の特徴を非遅滞幼児の場合と比較検討することによって音韻発達と意味発達の関連する方向性を求めた。重度精神遅滞児は子音、母音の各調音位置、方法において一般的な発達をしていることが確かめられた。音声連鎖パターンに2つの類型がみられた。類型Aでは日本語のリズムの特徴とされる4モーラ志向ストラテジーが示され、類型Bでは子音、母音の前方調音と後方調音に関して一定の組み合せで音韻転化が行われ、同時に音節主音の出現を強く規制する異化現象が示された。両児の子音、母音の各出現頻度を対数タイプ・トークン比で比較した。重度精神遅滞児の音声連鎖パターンが幼児の音素体系構築過程の音声表出と対応関係にあったことから、重度精神遅滞児においても音素体系構築過程への発達の可能性が示唆された。その際とりわけ前子音産出の促進が重要な課題であることが論じられた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1995-09-30