精神遅滞児における表出言語と認知能力に関する研究
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概要
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精神遅滞児における感覚運動知能のレベルと表出言語獲得(本研究では、物の名を聞かれて答えられる状態とした)の関連を、横断的及び縦断的調査により検討した。まず、25名(CA24〜78ヵ月、平均DQ45.3、SD15.89)の横断的調査から、表出言語を獲得している者は感覚運動知能尺度(物の永続性、目的達成、因果性、空間、対象関係把握のシェマの5つの下位尺度をとりあげた)のどの領域においてもstage VIを通過していることが見出された。次に、これを仮説として縦断的に16名(CA28〜59ヵ月、平均IQ45.6、SD13.71)の追跡調査を行った。その結果、ある程度の感覚運動知能レベルに達していないと表出言語獲得は困難であることが示され、感覚運動知能は精神遅滞児の表出言語獲得のための必要条件のひとつではあるが、十分条件とはいえないという結論を得た。以上に加え、精神遅滞児の初期の認知発達に関する縦断的知見を述べた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1988-11-30