44 日本産針葉樹のproanthocyanidinと樹皮タンニンの化学構造
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概要
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わが国の木材工業においては.伐採時に生する多量の樹皮が.まったく利用きれずに廃棄されている.これらの樹皮の有効利用を考えることは.資源的な立場から,たいへんに有意義なことである.樹皮はその抽出成分量が非常に高いことで知られており,特にタンニン性を有する一群のフェノール化合物においては顕著である。一方,タンニンは古くからなめし剤として利用されてきているが,近年ではフェノール性接着剤原料,あるいはタンパク質との結合性をいかした種々の利用法が考え始められている.また、その徴生物に対する抗菌性や酵素活性の阻害など生理作用も認められている.このようなことから、我々は樹皮利用の基礎として、樹皮タンニンの化学構造、存在量およびその性質について研究を進めている.前報では、スギ内樹皮よりタンニン関連化合物として多量の(+)-catechin (1),(-)-epicatechin(2),dimenic procyanidin B-3(3)すよびB-4(4),きらに3種のtimeric procyanidin異性体を単離し,その構造を同定あるいは推定した,また,さらに重合の進んだhigher oligomeric procyanidin (4量体以上)も内樹皮中に存在することを確認した.今回の報告では,種々の分析法を用いて,スギ内樹皮のhigher oligomeric procyanidinの化学構造の詳細について明らかにした.また,procyanidinの重合度とそのタンニン性について考察を加えた.さらに,日本産針葉樹11種について.その樹皮中に含まれるflavan-3-olおよびproanthocyanidinの化学構造,存在量などを比較した。
- 1979-09-20