人間行動における変異と淘汰の再検討 : 行動変動性の制御技術がもたらしたもの(<特集>行動変動性の実験研究とその応用可能性)
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概要
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行動変動性研究の最近の発展により、強化スケジュールを利用して、行動変動性を安定的に制御する技術が開発され、さらにその技術がシェイビングに応用されている。そしてこれらの技術を利用することにより、ヒトの強化スケジュール感受性が反応間間隔(interresponse time: IRT)の変動性と密接に関わっていることが明らかになった。そして、行動変動性と強化スケジュール感受性という行動間の因果関係を検討する際の問題点について議論するとともに、ヒトのオペラント行動が教示や強化履歴によって影響を受けて変化するとき、それらの変数により行動変動性が変化したことが直接の原因になっている可能性について考察した。行動変動性と強化スケジュール感受性の関係は、ヒトの行動に対して変異と淘汰という枠組みを適用することの意義を改めて示している。変異と淘汰によってその変遷を説明する淘汰理論は、最近の検討により、生物進化やオペラント条件づけだけでなく、免疫システムや神経細胞の発達にも適用することができると考えられている。ヒトを対象とした行動変動性研究は、このような普遍的淘汰理論を視野の中に入れることによってさらに発展してゆくと考えられる。
- 2008-03-31
著者
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