海外R&D拠点の役割進化プロセス : 米系多国籍企業K社の日本のR&Dセンターの事例分析
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概要
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本稿の目的は、「技術的相互依存関係」と「海外子会社の戦略的イニシアティブ」という視点から、海外R&D拠点が多国籍企業内部で果たす役割を動態的に進化させるプロセスを分析することにある。技術的相互依存関係とは、技術開発・製品開発等の技術活動における二企業間での技術的知識の共有・学習として定義する。技術的相互依存関係は、双方の暗黙知を共有する事で企業独自の資源蓄積や能力構築を促進する。海外子会社イニシアティブとは、子会社が独自の資源・能力を活用し、自社を新たな方向へと導く意図的・積極的な企ての事であり、子会社の自律的な活動を促す。この二つの視点を通じて、本稿では海外R&D拠点の役割進化には、現地企業との技術的相互依存関係を通じた独自能力の構築・強化と共に、自ら積極的に役割を修正していくような企業家的プロセスが影響すると位置付けた。そこで本稿では、米系多国籍企業K社の日本のR&Dセンターを事例として取り上げ、設立当初の技術移転期からデジタルカメラの世界市場向け製品開発期へと進化するおよそ20年間のプロセスを調査・分析した。事例分析の結果、同社では、役割進化の過程で、現地サプライヤーとの共同開発により暗黙知を継続的に共有・学習する事で、デジタルカメラの製品開発能力を構築・強化していた。また、こうした製品開発能力の構築を背景に、日本人マネージャーは新たな役割付与を本社に主張していた。同社の事例分析から、海外R&D拠点の役割進化プロセスの本質に関して、現地企業との技術的相互依存関係に基づく独自能力の構築と海外子会社イニシアティブのダイナミックな連鎖が鍵要因であると示唆できた。また、役割進化の結果、海外R&D拠点は内部ネットワークとの技術的相互依存関係を促進し、新たなイノベーションを創出する可能性も見出せた。
- 2007-09-30
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