アセチルアセトンとホルムアルデヒドによる縮合反応を用いたHPLC/蛍光検出法による尿中δ-アミノレブリン酸定量法の改良
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概要
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我々は尿中デルタアミノレブリン酸(δ-ALA)をアセチルアセトンとホルムアルデヒドを用いたプレカラム誘導体法によるHPLC-蛍光光度計で定量する方法が有用であることを先に報告した.しかしながら,その方法によるδ-ALAの回収率は尿中共存物質の影響を強く受け,尿中δ-ALAの回収率はやや低くなっていた(84.6±7.6%,n=45).本報告者は,我々は尿中δ-ALAの回収率がほぼ100%となるように方法を改善した(101.3±5.5%,n=45).この改訂法は以下の方法で行った: 尿20μl,アセチルアセトン溶液(アセチルアセトン: エチルアルコール: 4g/lの塩化ナトリウムを含有する蒸留水=15:10:75) 5ml,および9.3%ホルムアルデヒド溶液0.45mlを混合し沸騰浴で15分間反応させた後,流水で冷却し,その50μlをHPLC-蛍光光度計で測定した(励起波長246nm,測定波長458nm).δ-ALAの保持時間は7.3分であった.溶液グラジエント法を用いることによりカラム圧の上昇を避けられ,13分間隔での連続分析が可能となった.この方法によれば,種々の尿中共存物はδ-ALA誘導体の生成に影響を与えず,生成された誘導体はほぼ24時間安定であった.この方法で測定された尿中δ-ALA濃度はモーゼルーグラニック(M-G)法で測定した値と有意に相関した(n=85,r=0.993,p<0.001).しかしこの方法ではδ-ALAの類似物質を分離しているので,M-G法の値よりもこの方法による値のほうが低く,この方法による非鉛曝露作業者40名の尿中δ-ALA濃度は0.1〜2.3mg/g creatinine(1.1±0.4mg/g creatinine)と,M-G法による濃度(1.2〜3.1mg/g creatinine (2.1±0.5mg/g creatinine))の約半分の値であった.HPLC法による尿中ALA濃度の許容値は従来の比色法による数値とは異なった値を設する必要があると考えられる.
- 社団法人日本産業衛生学会の論文
- 1994-03-20
著者
-
中園 直樹
関西医科大学公衆衛生学教室
-
圓藤 陽子
関西医科大学公衆衛生学
-
上田 照子
関西医科大学公衆衛生学教室
-
上田 照子
福井医科大学 環境保健
-
岡山 明
Department of Health Science, Shiga University of Medical Science
-
圓藤 吟史
Department of Preventive Medicine and Environmental Health, Osaka City University Medical School
-
堀口 俊一
Department of Preventive Medicine and Environmental Health, Osaka City University Medical School
-
岡山 明
滋賀医科大学環境保健
-
圓藤 吟史
大阪市立大学大学院産業医学
-
中園 直樹
関西医科大学公衆衛生学
-
中園 直樹
関西医大 医
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