AI論争 : 疑問の声
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概要
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この論文で,AI論争においていわゆる反対陣営の交わす反論の哲学的内容を調べてみた。AIの実現にあたって次々に出てくる難問に対する理解を深めるのにはこの反論は重要な役割を果たしている。John CastiはAIの概念に対する反論の哲学的内容を三つの題目にまとめている。即ち,反行動的反論,現象学的反論,そして論理的反論である。これは,人間の頭脳にみられる認識状態と同等な状態を備えた機械(計算器)が理論的に作れるとする高度な人間的機能を持つAI理論に対して批判的な立場にある哲学者の主張である。ここで,各々の反論派の代表的論者の意見を調べてみた。反行動的反論の場合はカリフルニア大学,バークレー校のJohn Searleが提唱した有名なChinese Room Thought Experiment,現象学的反論の場合は同じバークレー校のHubert Dreyfusの主張,そして論理的反論の場合はよく知られているGodeI's Proofに基づくイギリスのJohn Lucasの主張である。歴史的にみると,artificial intelligenceという用語はDartmouth大学の数学者のJohn McCarthyが1956年,夏期研修グループで初めて使っている。Rockefeller Foundation主催のこの研修会の主な課題は,「学問または知能のあらゆる様相は,原則として機械によってシミュレーションできるほど正確に記述することができる。」という仮定が立証できるかどうかということであった。Castiは上記の三種の反論には納得していない。Castiは真の意味での知的な機械は二,三十年以内に開発できると確信している。著者もCastiの意見に同意している。AIを巡る論争はこれからも続くが,論争は問題をより深く追求する機会を与える一方AIに関わる哲学的また実践的な諸課題をより明確にするであろう。
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