アリストテレスにおける条件づき必然性
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概要
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中世からルネッサンス末にかけて自然学の方法論に関する中心的な話題を提供したのは,アリストテレスの学問論であった。とくに,16世紀におけるパドヴァ学派の議論がガリレオをとおして近代科学の成立に無視できない影響をあたえたことは,近年の科学史研究を通じて明らかにされつつある。その論点のひとつにアリストテレスの<条件づき必然性>(necessitas ex conditione)あるいは<仮定的必然性>(necessitas ex suppositione)の概念をめぐる議論がある。わたしは,すでに,アリストテレスの説明論が近代から現代にいたる<予見>中心の説明理論とまったく異なる特徴をもち,かれの考えでは,未来事象は本来学問の対象とはなりえず,それゆえ,学問的な説明とは過去の事象の説明につきるべきだ,というその過去指向的な性格を指摘し,それを<回顧的説明論>とよんだ。アリストテレスの唱える<条件づき必然性>もまた,おなじ発想に由来することを論ずるのが本論文の趣旨である。そして,これらの議論は,16世紀半ばから17世紀にいたる近代科学の成立過程に関する,きたるべき考察の一連の準備の性格をもつものである。
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